取材スタッフ:青々とした葉が畑に広がっていて、春らしい、気持ちのよい風景ですね。
浅井博さん(以下、浅井さん):昨日から露地の若ごぼうの収穫を始めました。先月はハウスの収穫がありましたが、露地のものが出てくると、いよいよ八尾の春が本格化してきたなあと感じますね。あ、お客さんや。すみません、ちょっと待っていてくださいね。
お客さん:若ごぼう、売ってもらえるん?
浅井さん:もちろんです。このまま洗わんで、いいですか?
お客さん:うんええよ。毎日、散歩がてら通るんよ。今日ぐらいがええ頃やなと思って声かけてみた(笑)。畑の人いてくれてよかったわ。おいしいもんね、若ごぼう。
浅井さん:おおきに、ありがとうございました!
取材スタッフ:作業中は、今のように、よく声をかけられるのですか?
浅井さん:ええ、そうですね。通り沿いですし、普通に声かけられますね。朝もひとり、来はりましたよ。
取材スタッフ:地域の方々と農家の方々の近さを強く感じますね。ところで、八尾若ごぼうはこの地方の特産品ですが、いつ頃から栽培されていたのですか?
浅井さん:大正時代とも昭和初期ともいわれています。市の南側に大和川(やまとがわ)が流れているのですが、これがもともとは八尾の中央を流れていたそうなんです。でも、いろいろ不都合があって、江戸時代に、川を南側に移す大規模な改修工事が行われたんです。その川床跡には、水はけのよい砂地が残りました。その土でいろいろな野菜がよく育ったそうなんです。八尾若ごぼうは、福井県の「越前白茎」系の品種のようで、それもここでよく育ち、地元の特産品になりました。
取材スタッフ:八尾若ごぼうは、川床跡の水はけのよい砂地で育っているんですね。そして、この若ごぼうは、葉も、茎も、根も食べられるのが、大きな特徴ですね。
浅井さん:そうなんです。葉はお浸しやふりかけ、茎や根は炒め物や煮物、天ぷらなどにして、あますところなく食べられていますね。でも、正直、子供の頃はおいしいと思わなかった(笑)。大人になって、お酒を飲むようになって、おいしいなと思うようになりました(笑)。
取材スタッフ:八尾若ごぼうは、大人の味ともいえるわけですね(笑)。