スーパーでもたくさんの種類が並び、初夏から夏にかけて食卓に登場する機会の多いトマト。
太陽の光をいっぱい浴びて栄養を蓄えたトマトは、そのまま食べても、加熱してもおいしい万能野菜です。
世界的に愛されるトマトが日本に伝わったのは江戸時代。
当初は「唐かき」「唐なすび」などと呼ばれ、食用ではなく観賞用として親しまれており、食べるようになったのは明治以降なのだそう。
今回は、野菜ソムリエプロの福島玲子さんをアドバイザーに迎え、身近な存在ですが、まだまだ知らない魅力が詰まった「トマト」を大解剖します。
抗酸化力が強いリコピンが豊富
鮮やかな赤い色素は、カロテノイドの一種である「リコピン」。このリコピンは、生活習慣病や老化の原因をつくる活性酸素を除去する抗酸化作用が高いといわれています。リコピンは油に溶ける性質を持つため、油と一緒に摂取すると吸収率が高まります。
加熱するとリコピンの吸収率がアップ
リコピンは熱を加えても、体に吸収されやすくなります。 そのためトマトソースやシチュー、スープなど、加熱調理して食べるのもおすすめです。
リコピン以外にも栄養素がたっぷり
トマトといえばリコピンですが、実はビタミンとミネラルも豊富。ビタミンは、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEとバランスよく含み、ミネラルにもカリウム、カルシウムなどが含まれています。
<トマトの分類>
トマトは大まかに大玉、ミディ、ミニトマトなどに分けられます。
よく耳にするフルーツトマトは品種名ではありません。一般的なトマトの水分を極力抑えて完熟させ、糖度を高めたものをいいます。
● 熟し方が足りない場合は、完熟させてから
温かい地域が原産のトマトは、寒いのが苦手。熟し方が足りない場合は、常温で保存し、完熟させてから冷蔵庫へ入れておきましょう。
●3~4日で食べるなら、冷蔵庫の野菜室で保存
低温障害を防ぐため、トマトは必ず保存袋に入れましょう。日持ちして10日ほど保存できます。
●長期保存するなら、冷凍保存
冷凍なら約1か月保存でき、日持ちが長くなります。
● トマト×かつお節
トマトが持つグルタミン酸とかつお節のイノシン酸を合わせると、味の相乗効果でうまみ成分がアップします。
トマトをひと口大に切り、クリームチーズと和えてお皿に盛り付けて、かつお節をふりかけましょう。
● トマト×黄色ピーマン
トマトに豊富に含まれるリコピン、ピーマンのビタミンCには、ともに抗酸化作用があり、美容効果が期待できます。
黄色いカラーピーマンを選び、パセリを散らして、カラフルで見た目も美しいスープを楽しみましょう。
● トマト×西洋かぼちゃ
トマトと同じ実もの野菜である西洋かぼちゃ。
耐熱皿にスライスしたトマトとかぼちゃを交互に乗せて、塩・こしょう、オリーブオイルをふりかけます。その上にホワイトソースとピザ用チーズを乗せ、オーブンで焼いたらトマトかぼちゃグラタンの完成です。
くし切りにしてサラダに、輪切りにしてカプレーゼに、ざく切りにしてトマトマリネやトマトソースに…。
切り方や調理方法、組み合わせる食材によって、たくさんの味わいや食感が楽しめる、変幻自在なトマト。
品種によって色や甘さ、大きさも様々あり、農林水産省に登録されているトマトの品種は、現在288種(2018年7月現在)。
世界には約1万種のトマトがあるといわれています。
いろいろなアレンジを楽しみ、たくさんトマトを食べて、その魅力を実感してください。