おいしさの故郷 インタビュー #野菜が好きだ

とうもろこし(北海道美瑛町)

「丘のまち」と呼ばれる北海道・美瑛町。ゆるやかな起伏がどこまでも続く丘陵地と、パッチワークのような色とりどりの美しい畑が特徴の地域です。今回は会報誌「自然といっしょに」2016年8月号でご紹介した美瑛町のとうもろこし栽培をあらためてご紹介します!

とうもろこし栽培に適した
美瑛の気候風土。

取材スタッフ:今日はお二人においでいただきました。ありがとうございます!

(写真→左が太田満さん、右が大波充宏さん)

太田満(おおた・みつる)さん(以下、太田さん):ようこそ美瑛へ!美瑛のとうもろこし畑、しっかり見ていってくださいね!

大波充宏(おおなみ・みつひろ)さん(以下、大波さん):今日は私がハーベスター(収穫機)を運転して、収穫の様子をお見せしますよ!

取材スタッフ:よろしくお願いします!飛行機から、美しい美瑛の畑の様子を見ることができ感動しました。そして、ゆるやかな起伏に富んだ雄大な風景の中を車で走ったら、またまた感動しました!

太田さん:美瑛が野菜づくりに適している理由は、まず、そこなんです。土地のアップダウンがあるので、畑の水はけがいいんですね。そのため、根が酸欠にならず、野菜が元気に育つといわれているんですよ。

大波さん:しかも、美瑛は、昼夜の寒暖差が大きい。その寒暖差で作物の甘みが増すんですよ。

太田さん:たとえばとうもろこしには、昼27~28℃、夜20℃程度がよいとされており、美瑛の気候がまさにそれくらいなのです。

取材スタッフ:なるほど、美瑛地区はまさにとうもろこし栽培に適した気候なんですね。

広大な畑でも
人の目や細やかな手間が必須。

取材スタッフ:では逆に、どんなことに苦労されるのですか?

大波さん:ここでは、加工用としても生食用としてもおいしいスイートコーンを栽培しています。スイートコーンは、害虫や病気にも比較的強いんです。しかし、ほったらかしでいいかといえば、全くそうではない。要所要所で世話を怠ると、すぐにだめになります。当然ですね(笑)。そこには、やはり、人の目が必要なんです。ですから、いつも畑に足を運んで、観察するようにしています。

取材スタッフ:なるほど、人の目が大切なんですね。種蒔きはいつ頃ですか?

太田さん:5月の下旬頃になりますね。専用の機械で2、3粒ずつ蒔いていきます。発芽から1週間したら間引き。2、3本の中から一番しっかりしている苗を残す。これは機械ではできない作業ですから、ひとつひとつ人の手でやっていきますよ。

取材スタッフ:ひとつひとつですか?! 気が遠くなる作業ですね!

太田さん:そうですね(笑)。また、肥料も、ただ、与えればいいというものではありません。とうもろこしは最初に肥料を与えすぎると、根が焼けてしまうんですよ。だから最初の肥料は、ほどほどにしておく。そして花が咲く前に、肥料を追加するくらいがちょうどいいんですね。

取材スタッフ:根が焼ける…なるほど。で、その花はいつ頃咲くのですか?

大波さん:7月下旬頃ですね。とうもろこしには雄花と雌花があるんですよ。茎の先端にできる穂のようなものが雄花、葉の脇からモジャモジャっと出るのが雌花です。これが風によって受粉されます。この頃、1回だけ消毒を行います。ラジコン・ヘリコプターを使ってね。

取材スタッフ:ラジコン・ヘリコプター! スケールが大きいですね。

太田さん:受粉が終わった頃を見計らって穂先を切ってやる作業もありますね。それをすることで、倒れるのを防ぐことができます。また、穂先を切ることで、上へ上へと生長しようとする力が止まるんです。それでその分、栄養が実のほうに回るようになるんです。

取材スタッフ:黄色い実が先端までびっしり詰まっているとうもろこし、おいしいですよね。

とうもろこしは鮮度が命。
収穫後はいち早く加工場へ。

大波さん:それでは、そろそろハーベスターを動かしてみましょうね。行ってきます!

取材スタッフ:はい、よろしくお願いします!
ところで太田さん、美瑛の農家の方は、皆さんハーベスターをお持ちなんですか?

太田さん:ハーベスターは大きな農機ですから、1軒1軒の農家が所有するわけにもいきません。そこで利用組合というのをつくって、その組合で所有し、「今日はAさんの畑、明日はBさんの畑」という具合に、皆で協力しあって作業を行っています。

取材スタッフ:北海道は農地の面積が広いので、皆さんで協力したほうが、確かに効率のよい作業ができますね。あ、あれが、ハーベスターですね!すごい!豪快ですね!

太田さん:木を引き抜きながら、茎と実を分けるんですよ。とても効率的に考えられています。ハーベスターがいっぱいになるとトラックへ。トラックがいっぱいになるとすぐに加工工場へ運ばれますよ。

取材スタッフ:「新鮮なうちに」というのは分かりますが、そんなに急がなくてはならないのですか?

太田さん:とうもろこしは、収穫された瞬間から、どんどん糖が消費されていき劣化していくんです。1秒も無駄にしたくはないですね。美瑛の加工用とうもろこしは、いち早い加工が徹底されているんですよ。

取材スタッフ:なるほど、だから、おいしいんですね。大波さんが戻ってきましたね。おかえりなさい!ハーベスターの運転ありがとうございました!収穫の様子、よくわかりました。

大波さん:よかったです!収穫が終わったら畑に落ちた葉や地中の根をすき込んで耕します。この畑には、連作障害を防ぐために、来年、別の作物を植えるのですが、とうもろこしの後に植える作物はとてもよく育つんですよ。根にもたっぷり栄養が含まれているからなんですね。

太田さん:美瑛の自然と農家の手間がつくりだすとうもろこしは、深い甘みが自慢なんです。これからも丁寧に栽培して、おいしいとうもろこしを届けていきたいと思います!

大規模で効率的な機械作業と、農家の方々の細やかな心配り。両方のバランスがとれてこそ、質の高い作物が生み出されることがよく分かりました。また、生産者の方々の固い絆を見せていただいたような気がしました。

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