土井さん:それはそうと、ハウスの中は、ものすごく暑いでしょう?アスパラガスは蒸し暑い環境が大好きです。外に出ましょうか?
取材スタッフ:お気遣い、ありがとうございます。暑さに慣れていないので、かなり汗が吹き出してきました(苦笑)。それにしても、土井さんは、この暑さの中で、毎日お仕事をされているのですね。
土井さん:もう慣れました(笑)。とはいえ、そんな私でも、夏の日中はとても暑くてハウスに入ることができませんから、なるべく涼しい時間に作業をするようにしていますよ。朝4時、それから夕方18時ぐらいですね。
取材スタッフ:朝夕ですか?大変ですね。
土井さん:夏のアスパラガスは、とにかく生長が早いんですよ。1日10センチ以上伸びることもあります。朝に収穫できなくても、夕方には収穫できるんです。
取材スタッフ:1日10センチですか?! アスパラガスってすごいパワーですね。
土井さん:どんどん伸びるから、夏は1日たりとも休むことができませんね。
取材スタッフ:どれくらいの長さのものを収穫するのですか?
土井さん:27センチですね。27センチの棒を添えて長さを測って収穫します。

(写真:目安になる棒を当てて収穫)
取材スタッフ:なるほど!そうすれば、収穫できるかどうか、すぐに分かりますね!それでは、栽培の1年を教えていただけますか?
土井さん:1月下旬は、ハウスのビニールを二重にして、ハウスを十分に温めます。すると2月下旬には、地下の貯蔵根に蓄えられた栄養で春芽が生えてきます。それを4月上旬くらいまで収穫します。4月中旬頃からは、夏芽の準備をします。
取材スタッフ:栄養源を、貯蔵根から親木に切り替えるわけですね。
土井さん:そうです。生えているアスパラガスから元気がよいものを選んで、収穫せずにそのまま生長させて親木にするのです。30センチおきに親木を選んで、1ヶ月ほど生長させると、松葉のような「擬葉」が生えてきます。
取材スタッフ:この擬葉が光合成をするということですね。
土井さん:そうです。その栄養で、6月ぐらいから、親木の根元にアスパラガスが生えてきますので、それを収穫します。これは10月下旬ぐらいまで続きます。
取材スタッフ:収穫が終わったあとは?
土井さん:親木をしばらく低温に当てると、11月下旬から1月頃、親木が鮮やかな黄色に変化します。親木の栄養が、地下の貯蔵根に降りてきた証拠です。そうしたら親木を刈り取り、土に堆肥を混ぜ込みます。
取材スタッフ:一年中、休む暇がありませんね。

(写真:11月下旬から1月頃、アスパラガス畑は鮮やかな黄色に変わります)