取材スタッフ:こちらのハウスには、どれくらいの赤ピーマンの木が植えられているのですか?
公文さん:約5,000本のハウスが2棟ありますから、合計約10,000本です。10月から翌年の7月まで収穫できます。すべてを水耕栽培で育てていて、だいたい2ヶ月おきに収穫のピークがきますね。
取材スタッフ:赤ピーマンの栽培で気を遣うことはどんなことですか?
公文さん:緑ピーマンは、花が咲いてから1ヶ月ほどで収穫ができるんです。そもそも、赤ピーマンとは、緑ピーマンが赤く熟したものということは、ご存じですよね?だから赤ピーマンは、緑より長く、開花から2ヶ月ほど木の上で熟させないといけないので、どうしても木が早く疲れてしまうのです。すると抵抗力が弱って病気になってしまう。そうならないように、実を間引いたりして、元気を保ってやることが必要ですね。
取材スタッフ:あれ?では、緑ピーマンも出荷ができてしまうのですか?
公文さん:赤色がきれいに出て、甘みが強い、赤ピーマン専用の苗を使っているので、緑ピーマンでは出荷していませんよ。
取材スタッフ:そうですよね、失礼しました(笑)。毎日ハウスの中を見回って、真っ赤になったものから収穫されるんですね?
公文さん:はい、そうです。赤ピーマンはどうしても低い位置から熟していくので、その時期の収穫は、太ももがパンパンになります(笑)。
取材スタッフ:そんなご苦労もあるのですね。これまでに、失敗したことはありましたか?
公文さん:いくつもありますよ(笑)。夏は、土台となる培地が40℃にもなって根が弱るのですが、私はそのことを気にしすぎて、水を多めに与えてしまったんです。そうしたら、木は生長するけど実がとまらん(実らない)…という年がありましたね。
取材スタッフ:難しいんですね。
公文さん:私は親父のもとで土耕栽培を今も続けているのですが、水耕栽培のほうが難しいと感じます。
取材スタッフ:どんなところがですか?
公文さん:土耕栽培の方やったら、水や肥料を与えた時、土がクッションになってくれる。余力というか、余白というか、うまく言えないけれど、そんなところがあると思うんです。逆に水耕栽培は、水や肥料の影響が直接的に表れる。そこら辺が難しいですね。
取材スタッフ:なるほど。
公文さん:でも逆を言えば、水耕栽培のほうが、軌道修正がやりやすいということになります。それがおもしろさでもあったりします。
取材スタッフ:水耕栽培のよさを最大限に活用できる方法を、日々考えていらっしゃるのですね。