おいしさの故郷 インタビュー #野菜が好きだ

音更大袖振大豆(北海道音更町)

広大な十勝平野のほぼ中央に位置する音更町は北海道でも屈指の穀倉地帯。カゴメ「まるごと大豆」の原料となる音更大袖振大豆(おとふけおおそでふりだいず/以下、大袖大豆)もこの広大な平野で育てられています。私たちは音更の農家3代目・中川猛(なかがわ・たけし)さんの畑を訪ね、お話を伺いました。

掴みどころがなく扱いが難しい。
だから夢中になる。

中川猛さん(以下、中川さん):いらっしゃい、ようこそ!

取材スタッフ:今日はお世話になります。とてもきれいな畑で気持ちがいいですね。大豆ものびのびと元気よく生長しているように見えます。

中川さん:今年は雨が少なく、日照時間が多かったので絶好調です!とても順調に育っていますよ。

取材スタッフ:では収穫も期待できますね。

中川さん:いやー、気は抜けませんね。私は、大袖大豆とユキホマレの2種類の大豆を育てているのですが、ユキホマレは、わかりやすくて育てやすい。でも大袖大豆は、掴みどころがないんです。どう転ぶか、分からないので、最後まで安心はできません。だからこそ夢中になるのかもしれませんが(笑)。

取材スタッフ:大袖大豆とユキホマレ、具体的には、どんなところが違うのでしょうか?

中川さん:まずは種蒔き時の株間ですね。ユキホマレは株と株の間が18センチなのですが、大袖大豆は26センチ間隔で種を蒔きます。ユキホマレは密植に適していますが、大袖大豆は密集して育てると、ひょろひょろと上にばかり伸びて倒れやすくなるんです。できるだけたくましく育ってもらうために株の間を広くしています。風通しもよくなるので虫も付きにくくなります。

取材スタッフ:同じ大豆でもかなりタイプが違うのですね。でも、株間の差が8センチもあると、収量がそれだけ少なくなる心配はありませんか?

中川さん:収穫する本数は減っても、一粒一粒が大きく、糖度が高い大豆が収穫できれば、全く問題はありません。私は現在、株間30センチにも挑戦しているんですよ。

取材スタッフ:発芽後の世話にも違いがあるのでしょうか?

中川さん:大袖大豆は、生長途中で倒れてしまわないよう、土寄せが必要です。倒れると病気になりやすくなり、風通しも悪くなりますから。草を刈りながら、畝に土を寄せていって根元をしっかりと補強します。夏は害虫も雑草も活動が活発になりますので、こうした世話が必要になります。

取材スタッフ:大豆といえば夏場は枝豆。そういえば大袖大豆の枝豆って…?

中川さん:もちろんありますが、残念ながらお店には出ません。でも農家は食べますよ。生長確認のためにもね。ここだけの話、これがすごくおいしいんです。息子が1歳ぐらいの時、いろいろな枝豆を食べさせたのですが、大袖大豆の枝豆ばかり食べていましたよ。

豆を噛んで水分確認。
収穫適期の見極めが大勝負!

取材スタッフ:枝豆の時期が過ぎればすぐ秋ですね。北海道の秋は、早く訪れるのでしょう?

中川さん:そうですね。大雪山系の山には、早い時で9月下旬に雪を見ることもあります。畑の葉の色も黄色くなり、カラカラになっていきます。でも、この冷たさが大袖大豆には必要。西や北からの冷たい風が吹いてくると、いよいよ豆に風味がのってくるんですよ。

取材スタッフ:収穫の仕方にも、他の大豆と違いがあるのですか?

中川さん:収穫の時こそ大きな違いがあるんですよ。ところで、大袖大豆の特徴って何かご存じですよね?

取材スタッフ:和菓子に使われるほどの豊かな甘みと旨み、そして淡い緑色ですよね。

中川さん:そうなんです。大袖大豆の収穫適期というのは非常に短くて、そこを逃してしまうと、特徴である豊かな甘みと旨み、香りが抜けていってしまうのです。色とともに風味が抜けるので、緑色がその目安になってくれています。

取材スタッフ:では、気持ち、早めに収穫すればよいのでは?

中川さん:早めは早めで、青臭いというか、未熟な香りがして、やっぱりよくないんです。だから収穫はピンポイントでなければならない。私の目安は、大豆の葉が落ちて晴れが続く日。週間天気予報をずっと見て目星をつけたら、畑の豆を噛んでみて、中の水分量を確かめます。それでOKとなったら収穫です。

取材スタッフ:豆を噛むんですか?!

中川さん:ええ、これが昔からの、うちのやり方で、私もこれでずっとやってきました。

どんなに技術が進んでも
大切なのは「人」の目と心。

取材スタッフ:ところで先ほど、トラクターをかなり器用に後進させていましたね。

中川さん:ええ、GPS搭載機でした。技術の発達で、いろいろな作業がだいぶ楽になりました。でも私は、最後は「人」だと思っています。除草したあとの畑も、人の目でしっかり確認します。

取材スタッフ:なるほど。隅々まで細やかな心配りですね。

中川さん:消費者の方々の声を耳にするたびに、それに応えるものをつくりたいという気持ちがどんどん大きくなってきましたね。

取材スタッフ:やはり、消費者の方々のお声は財産ですし、力になりますよね。

中川さん:そうですね。息子が4代目を継ぐと言ってくれているんです。今は機械のおかげで作業もだいぶ楽ですが、農業の基本はしっかり伝えたいと思っています。人様の口に入るものを手掛けているんだという自覚を持って、頑張ってほしいと思っています。

取材スタッフ:カゴメには「畑は第一の工場」という思想があります。安心安全でおいしいものは、よい畑から生まれる。そんな想いを、今日は中川さんと共有できた気持ちがします。ありがとうございました。

(左から健康直送便・向田、中川さん、健康直送便・栗橋、佐藤)

北海道の大地のように大らかな中川さん。生まれ育った音更を愛する気持ち、作物へのあたたかな愛情が伝わってきました。中川さんが丹精込めて育てた音更大袖振大豆を使った「まるごと大豆」。ぜひお試しください。

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