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Vol.14 おいしく長持ち、漬けのきほん

日本では昔から食材を漬けることで、おいしさを長持ちさせる文化があります。
代表的なのはお漬け物です。その起源は定かではありませんが、天平時代の木簡にお漬け物の記述があったのだとか。また、徳川家康は奈良漬けが大好物だったのも有名なお話です。

食材は収穫したときから、鮮度は落ちていってしまいます。
しかし、新鮮なうちに漬けておけば、おいしく食べられる期間が長くなるうえ、おいしさもアップ。
今回は、保存食や乾物料理に精通した料理家のワタナベマキさんに、漬けるおかずの基本を教えてもらいます。

野菜をおいしく漬けるために

水分をしっかり拭いておく

食材に水気が残っていると腐敗の原因になるため、洗ったあとはきちんと水分を拭き取ります。ザルにのせて少し干してもよいでしょう。

大きさ、厚みをそろえておく

食材をカットするときは、大きさや厚みを統一することでムラなく漬けることができます。異なる食材を一緒に漬け込むときも、できるだけサイズをそろえて。

量に合わせた保存容器を選ぶ

漬けだれが食材にしっかりかぶっている状態が保てる容器を選ぶことで、腐敗が防げます。また、瓶やホウロウなど酸に強い容器、煮沸消毒できる容器を選ぶとより安心です。

そのまま食べられる、漬け野菜

酢やしょうゆ、塩など、漬けに使う素材はたくさんあります。なかでも漬けておくだけでそのまま食卓に出せて、常備菜としても大活躍してくれる漬けだれを紹介します。

リンゴ酢×ナンプラー漬け

フルーティーなリンゴ酢にナンプラーを加えることで、エスニックな味つけになります。

● 漬けだれのつくりかた

リンゴ酢、ナンプラー、千切りにしたしょうがを小鍋に入れ、ひと煮たちさせます。

● おすすめの食材

ミニトマト、大根、にんじんなど。ミニトマトは竹串で数か所に穴をあけるか皮を湯むきします。大根とにんじんでつくると、エスニック風のなますに。

塩麹×ごま油漬け

食材の旨みを引き出す塩麹にごま油を加えて漬けることで、風味が強くなり、ごはんのお供にぴったり。

● 漬けだれのつくりかた

食材と塩麹をよくなじませ、最後にごま油をまわしかけて保存します。

● おすすめの食材

長芋、きゅうり、キャベツなど。万能調味料として重宝される塩麹の効果で、素材の味が引き立ちます。

しょうゆ×黒酢漬け

酢を効かせたしょうゆベースの漬けだれです。黒酢はまろやかなので、酸味があまり強くない中華風の漬け物になります。

● 漬けだれのつくりかた

しょうゆ、黒酢、ごま油、赤唐辛子を小鍋に入れ、ひと煮たちさせます。

● おすすめの食材

きゅうり、大根、かぶなど。あっさりとしてサラダ感覚で食べられるので、余った野菜の切れ端を気軽に漬けてみてください。

いろんなレシピに変身する、漬け野菜

ケチャップ×しょうゆ漬け

ケチャップの酸味と甘みに、しょうゆでコクをプラスします。漬けた食材が奥行きのある味わいに。

● 漬けだれのつくりかた

ケチャップにしょうゆ、酒、つぶしたにんにくを加えます。

● おすすめの食材

れんこん、ごぼう、ブロッコリーなど。漬けたあと、グリルやオーブン焼きにします。野菜以外にも、鶏肉を漬けて蒸し焼きするなどもおすすめです。

味噌×豆板醤漬け

麹味噌に豆板醤を加えることで、味噌の甘さと辛みの調和がおいしい漬け床になります。

● 漬けだれのつくりかた

麹味噌に豆板醤を加えることで、味噌の甘さと辛みの調和がおいしい漬け床になります。

● おすすめの食材

れんこん、キャベツ、にんじんなどを漬けて、グリルで軽く焼くか、ホイル焼きに。

フレンチマスタード×ナンプラー漬け

かけるイメージがあるフレンチマスタードを漬けだれに。マスタードの酸味とナンプラーの意外な相性の良さを実感できます。

● 漬けだれのつくりかた

フレンチマスタード、ナンプラー、酒を混ぜ合わせます。

● おすすめの食材

アスパラ、にんじん、キャベツ、さやいんげんなど。グリルやオーブン焼きにするか、フライパンで肉と一緒に焼いてもおいしいです。

今回はすぐにでもチャレンジできる野菜を中心に紹介しましたが、食材と漬けだれの相性はさまざま。

鶏肉のマスタード漬け、豚肉の梅干し漬けなど、お肉は漬けることでやわらかくなり、保存性が高まります。
魚は漬けると水分が抜けて、また違った味わいに。粕や塩麹のほか、オイスターソースと酒を合わせた漬けだれにも合います。
さらに、フルーツはフレッシュならレモン入りのシロップ漬けをソーダで割ったり、ドライフルーツはラム酒やヨーグルトに漬けるなど、まだまだアレンジ次第でお料理の幅は広がっていきます。

また、常備菜としてつくり置きしておくだけで、毎日の食事の準備がスピードアップする便利さもうれしいですよね。

同じ漬けだれでも、漬ける食材を変えれば新しい発見があります。漬けだれの組み合わせや分量を調整して、自分好みの味や新しいおいしさを見つけてみてください。

監修/ワタナベマキ
料理家。季節の素材をいかした料理が得意。日々の暮らしからなるレシピを雑誌、広告、テレビなどで紹介。近著に『私の好きな煮込み料理』(家の光協会)、『ひとつの野菜でつくりおき』(立東舎)がある。
ご紹介した「ひとてま」はいかがでしたか?

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