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Vol.12 おせち料理をつくろう

お正月だけのお楽しみである、おせち料理。
その由来は、節目に神様にお供えしたものを調理して、
豊作や大漁を願い、
自然の恵みに感謝して食べる料理だといいます。
やがて節目行事のなかで一番大切な日とされる
お正月の料理を指すようになりました。

お重におめでたい“いわれ”があるごちそうが並ぶと、
目にも華やかで、新年のはじまりにぴったり。
最近では、百貨店などで手に入る市販品も人気ですが、
自分で手をかけて仕込んだおせちは、
やっぱり特別感も大きいものです。

今回はおせち料理の基本について、
辻調理師専門学校の日本料理教授・服部先生がレクチャー。
毎年手づくりしている方にも役立つよう、
アレンジ方法も伺いました。

お重の詰めかた

一の重

祝い肴と呼ばれる、酒の肴や珍味などを盛りつけます。黒豆、数の子、田作りなどはこの段に並べます。

二の重

大根とにんじんで作る紅白なます、生寿司(きずし)や酢の物などを入れます。

三の重

焼き物を盛りつけます。ゴボウ、レンコンなどの山の幸、鮭、ブリ、海老といった海の幸を詰め込んで。

与の重

煮物(煮しめ)はこちらへ。茎の先から芽が出ているクワイは「芽が出る」といわれ、おせち料理の定番ですね。

押さえておきたい祝い肴

おせち料理に欠かせない祝い肴のなかでも、手づくりする機会の多い3つを厳選。つくりかたのポイントや、いつもとは違うアレンジ方法をご紹介します。

ふっくら、黒豆

元来「まめ」は達者や健康を意味するため、黒豆は無病息災を願うもの。苦労をいとわずにまめに働くと言う意味も込められています。しわができないよう豆が煮汁に浸かっている状態をキープしながら、ふっくらやわらかく煮ましょう。

● アレンジ

普通の砂糖ではなく黒砂糖を使ったり、洋酒などを加えれば味わいに変化が出ます。残ってしまった黒豆は、クリームチーズと和えてクラッカーに乗せれば、おもてなしスイーツのできあがり!

関西では黒豆の代わりに、男性の力を示すゴボウを用いた「叩きゴボウ」が入ることがあります。「開きゴボウ」ともいわれ、開運を願います。
ぷちぷち、数の子

数の子はニシンの卵なので、二親(にしん)からたくさんの子どもができることにあやかって、子孫繁栄を願います。水につけて薄皮を除き、一度お酒や焼酎で洗ってから、だしベースに浸けるのがポイントです。

● アレンジ

つけ汁に白ワインを使うと、また違った風味に。味つけされた数の子は、塩味のある数の子は、ポテトサラダやタルタルソースの具に使えば、おかずにも、お酒のアテにもぴったりです。

こってり、田作り

かつては田の肥料としても使われていたことから「田作り」といわれ、五穀豊穣の意味が込められています。煮汁はしっかり煮詰めて、パリパリに煎った田作りを加えてください。「ごまめ」とも言います。

● アレンジ

刻んだくるみやアーモンドなどのナッツ類、ゴマなどを加えるとより香ばしさが際立ちます。さらに素揚げにして塩を振るだけで、ご飯に合うおかずに。玉子焼きの具にすれば、こっくりとした味が活かされておいしいですよ。

かぶは皮をむいて1cm角の角切りにし、塩水に漬けてしんなりさせます。ミニトマトはヘタを取って湯むきを。それぞれ水気を拭き取り、ひたひたの甘酢で1日以上漬けておきましょう。かぶの代わりに、茹でたレンコン、大根、長芋などをつかってもOKです。

年末のおせち予定表

● 12月28日は準備と買い出し

完成したおせちが入れられるよう冷蔵庫の中を整理しましょう。お重や器を準備し、食材の買い出しへ。

● 12月29日は下ごしらえ

黒豆を水で戻す、数の子を水に漬け塩抜きをする、魚に塩をして味噌漬けするなど時間がかかるものの下ごしらえを進めましょう。

● 12月30日は日持ちがするものをつくり始める

黒豆、数の子、田作り、伊達巻、栗きんとんなどをつくり、保存容器に入れてきます。

● 12月31日はメインをつくる

酢の物、煮物などをつくり、かまぼこをカット。重箱に詰めて涼しい場所で保管しましょう。

どの時代にも、お正月の食卓には、
おせち料理がありました。

近年では、
お気に入りの器に好きな数品を盛り付けた
ワンプレートおせちも、
気軽にお正月気分が盛り上がると
人気になっています。

忙しい年末でも、
ゆっくりと料理と向き合う時間をつくり、
手づくりのおせち料理で
新しい年の節目を迎えませんか?

監修/服部 勝人
辻調理師専門学校、日本料理教授。1981年辻調理師専門学校卒業後、京都嵐山の「吉兆」に8年間勤務。その豊富な経験を伝えたいと1989年より母校に戻り、教鞭をとる。2017年は毎日新聞夕刊「落語食堂」連載を担当。
ご紹介した「ひとてま」はいかがでしたか?

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