
インスタントの粉末だしはとても便利ですが、
家庭でも手づくりできる、
天然素材でとっただしには、ほとんど塩分がなく風味も豊か。
「おいしいだしから、おいしい料理が生まれる」といっても
過言ではありません。

だしをとる素材によって味が変わるので
調味料としての役割も果たしてくれますし、
特に、和食にとってだしは重要です。
健康に関するセミナーや料理レッスンを行う
「ABC HEALTH LABO」にだしの基本を伺いました。
だしを知る
だしの歴史
室町時代に確立された武家の礼法のひとつ「本膳料理」が起源だといわれています。「飯・汁・菜(おかず)・香の物(漬け物)」で構成され、このときの汁物には、すでに昆布とかつおのだしが使われていたそうです。
だしの魅力
最大の特徴はうま味。昆布はグルタミン酸、かつお節、煮干しはイノシン酸、干ししいたけはグアニル酸など、それぞれにうま味成分が含まれています。アミノ酸系のうま味成分(グルタミン酸)と核酸系のうま味成分(イノシン酸、グアニル酸)が混ざり合うと相乗効果が生まれ、さらにおいしさがアップします。
地域によるだし文化
関東ではかつお節、関西では昆布をベースにだしをとります。日本料理が発展した江戸時代、流通の関係で関東に昆布が出回らなかったこと、関西よりも関東の水が硬水で、昆布のうま味がうまく溶け出さなかったことが挙げられるようです。
一番だしをとる

昆布は表面の汚れを取る
水400ccに昆布4~6g、かつお節8~10gが目安です。昆布の汚れをかたく絞った布巾でさっと拭き、繊維に逆らって切り込みを入れて、30分ほど水に浸けます。
表面の白い結晶は海水の塩分が作用してできたもので、うま味になるため、拭き取らないよう注意しましょう。
弱火でじっくり時間をかけて旨みをだす
弱火で加熱し、沸騰直前で昆布を取り出しておきます。
火を止めてからかつお節を加える
煮立ったら一度火を止め、かつお節を加えます。かき混ぜたりせず、自然とかつお節が鍋底に沈むのを待ちましょう。

丁寧にアクを取り除く
再び加熱し、アクを除きながら弱火で1~2分ほど煮出します。
さらしで濾す
火を止め、濡らしてかたく絞ったさらしで静かに濾します。このとき、かつお節を押し付けたり、力で絞ったりしないのが、おいしく仕上げるコツです。
一晩浸けておくだけの
簡単"水出し"だし
水と昆布や干ししいたけなどを入れ、一晩置けば、水出しのだしができあがります。だしの素材は、一晩たったら取り除いておきましょう。
料理に合わせて、だしを選ぶ
一番だし
昆布とかつお節を使って最初にとっただし。澄んだ黄金色と最高の香り&うま味を持つため、お吸い物や茶碗蒸しなど、だしの味を存分に楽しむ料理に最適。

二番だし
一番だしをとった後の昆布とかつお節を鍋に戻し、水を加えて煮出したもの。新しいかつお節を足すと風味が増します(追いがつお)。
一番だしと比べると風味は劣りますが、味噌汁や煮物に使うと充分においしいです。
昆布だし
昆布は幅が広く、肉厚のものがよいとされています。あっさりしているので、鍋料理のベースに使いやすいですよ。
かつおだし
かつお節は、生の身を節におろして茹で上げ、火で炙って乾燥させカビつけしたもの。かつおの風味はお茶漬けにぴったり。どんな具材でも相性がいいですよ。

煮干しだし(いりこだし)
いろいろな種類の魚でつくられますが、多くはかたくちいわしの稚魚が原料となります。具材の多い汁物、味噌汁、そばつゆなどに使うと、濃厚な味が喜ばれます。
実は、うま味成分は野菜にも含まれています。
特にトマトをはじめ、
枝豆やグリーンピースなどの豆類には
グルタミン酸が多く存在しているので、
だしを使った料理との相性は抜群。

味噌汁、煮物、だし巻き玉子など、
毎日の献立に自家製だしを取り入れて、
やさしく、深い味わいを感じてください。
- 監修/ABC HEALTH LABO
- 株式会社ABC Cooking Studioの中でHEALTHケアビジネスを推進するチーム。レシピ提案や健康に関するセミナー・講座、料理レッスン、目的に合わせた食事カウンセリングなどを行っている。
