
 旬の野菜を丸ごといただけるぬか漬け。
  おうちでぬか床をそだてれば、いつでも、栄養いっぱいの
  旬の味覚を味わうことができます。
 ぬか漬けの発祥は江戸時代。
  野菜がぬかに含まれるビタミンB1を吸収し、
  ぬか漬けにするだけでおいしさと栄養価がアップ。
  “食べて健康になる”と、先人が生みだした知恵のひとつが、
  ぬか床とぬか漬けです。
  
  
 
 ぬか漬けには、ビタミン以外にも、
  ナイアシンやたんぱく質、食物繊維、カルシウム、
  リン、鉄など、元気にうれしい栄養素がたっぷり。
  米ぬかを乳酸発酵させた発酵食品なので、
  健康維持に欠かせないと話題の酵素も豊富に含まれています。
 まずは市販のキットを使って、ぬか床づくりにチャレンジを。
  難しく思われがちですが、
  ポイントを押さえれば気軽にスタートできます。
 今回は、日本の伝統食をたいせつにする
  「食べごと研究所」の山田奈美さんに、
  おいしいぬか床のそだて方、付き合い方を伺いました。
  
 
ぬか床には主に、表面に産膜酵母菌、真ん中に乳酸菌、底に酪酸菌がいます。バランスが崩れていずれかの菌が増えすぎると、味が落ちたり、いやな臭いが発生。そこで、酸素を好む産膜酵母菌を空気にふれる表面から底へ、酸素を嫌う酪酸菌を底から表面に動かすことで、菌の過剰な繁殖を防げます。上下が入れ替わるようにしっかりと混ぜましょう。
新しいぬか床は、発酵を促すために野菜くずを3、4日漬けて取りかえる「捨て漬け」を、3、4回繰り返しましょう。捨ててしまうので古くて食べられない大根やかぶの葉、大根の先端などがおすすめです。
ぬか漬けには、殺菌防腐のための薬味や、味に深みを足すため旨みの豊富な食材を一緒に漬けておきます。昆布や唐辛子が一般的ですが、かつおぶしや干ししいたけなどの旨みの強いものを入れれば、旨みのあるぬか床に。山椒の実や青梅、柚子の皮などの香りのよいものを入れれば、さわやかな香りになります。
菌は、人の感情と共鳴するといわれています。毎日「おいしくなってね、ありがとう」という気持ちで混ぜていると、本当においしくなります。反対に「めんどくさいな」と思っていると、菌の働きが弱まってしまいます。
  きゅうりやなすといった
  なじみのある定番の野菜だけではなく、
  自慢のぬか床と相性のいい食材を探してみたり、
  薬味を変えて2種類の味わいをそだててみたり。
  ぬか床の魅力は、ぬか漬けの味わいのように深く、
  知れば知るほど楽しくなっていきます。
  
  
 
 「手間がかかりそう・・・」なんて思うのは最初だけ。
  旬の野菜がもっとおいしくなり、
  もっと栄養いっぱいになって食卓に並ぶなんて、
  とっても贅沢なことです。
 毎日愛情いっぱいにぬか床をかき混ぜ、
  自分だけの「おいしい」をはぐくみ、
“懐かしい我が家の味”をそだてましょう!