カゴメグループには「品質第一・利益第二」という考え方があります。これは大切なお客様に安心・安全な品質を提供することと、事業を継続するために利益を創り出すことの両方を大事にするという考え方です。
今回は、カゴメが全社で取り組んでいる品質の向上と安心・安全を守る取り組みについて前編・後編に分けてお届けします。
食品や飲料は口に入れるものだからこそ、ほんの小さなミスが思わぬ事故や健康への影響につながることもあります。
だからこそカゴメでは、問題が起きてから対応するのではなく、「起こる前に先回りして備える」ことを大切にしています。そのための専門の部署を設け、日々さまざまな工夫や取り組みを重ねています。
お客様に「これなら安心して選べる」と感じていただけるように。その思いを胸に、私たちはこれからも努力を続けていきます。
カゴメの品質管理について
カゴメの品質は国際規格ISO9001に準拠した独自の品質マネジメントシステム(Kagome Quality Management System:KQMS)で管理されています。
この仕組みのもとで、商品の設計・開発から原料の調達、生産、物流、販売にわたる品質活動に取り組んでいます。
今回は、その中でも特に『畑での取り組み』『工場での取り組み』『研究開発部門での取り組み』を前編・後編にわたってご紹介します。
農家の皆さんと一緒に、土から育てる品質
私たちが手にする商品の原料となる野菜は、信頼できる農家さんの手によって、大切に育てられており、畑には農家さんの思いや苦労が詰まっています。
そんな畑と会社をつなぐ存在が「フィールドパーソン」と呼ばれるカゴメの社員たちです。彼らはいわば「農業のプロ」。彼らは定期的に契約した農家さんを訪れ、栽培の相談にのったり、ときには指導を行ったりしながら、原料の品質や収穫量をきちんと管理しています。顔を合わせて話を重ねることで信頼が深まり、安定した原料の確保へとつながっていきます。
もちろん、安心と安全を守るためには農薬の管理も欠かせません。カゴメでは農薬の使い方についても適切に指導し、徹底した管理を行っています。
畑から始まるたくさんの人の努力が、安心して口にできる商品へとつながっているのです。
フィールドパーソンの活動はこちらの記事でもご紹介しています。
品質を守る立役者「食品安全部」
カゴメの安心・安全に大きく関わっているのが「食品安全部」です。実際に食品安全部で働くメンバーにインタビューし、普段なかなか知ることのできない商品の安全性確保の取り組みをご紹介します。
「食品安全部は、商品開発本部に所属しているグループです。私たちは大きく分けて2つのことを大切にしています。
1つ目は、リスクを事前に察知して、問題が起きる前に対応すること。
2つ目は、もし万が一トラブルが起きた時でも、できるだけ早く対応できるよう備えておくことです。
また、食品安全部は企画から原料の調達、開発まで、商品の流れのさまざまな場面に関わっている部門です。私たちがどのように安心・安全に取り組んでいるのか、少しでも皆さまにお伝えできればと思っています。」
使用前にチェック!原材料をスピーディーに検査
訪れた畑で出荷前の「残留農薬検査」のためサンプリング。サンプルはカゴメの研究所に持ち帰り、トマトの安全性を厳しくチェック。美味しさはもとより、カゴメはお客さまの安全・安心を第一に徹底。
「新しい原料を使うときには、必ず『新規原材料評価』というステップを経ます。1年間で採用する原料はおよそ150件。その一つひとつに対して、残留農薬や重金属、カビ毒、アレルギー物質、食品添加物の有無といった点をチェックします。さらに、産地偽装や遺伝子組み換えの問題、容器から溶け出す可能性のある成分(ビスフェノールAなど)など、約20種類の項目を評価していきます。これらをすべてクリアした原料だけを調達して、製品にすることができます」
一度採用が決まった原料は社内のシステムに登録され、以降は『モニタリング評価』という形で定期的に確認されます。もちろん、健康直送便で販売している『夏しぼり』『つぶより野菜』『スルフォラファン』に使う原料も、このモニタリング評価の対象になります。
「農産原料は農薬などのリスクが伴うため、毎年確認を行い、『使用する前に安全であることを確認する』という方針を徹底し、原料が工場に入る前の段階でチェックします。先ほど『夏しぼり』や『つぶより野菜』を例にあげましたが、特にモニタリング評価は時間との勝負です。工場に原料が届くとすぐに加工を行うため、生の野菜や果実を原料とする『旬シリーズ』などはサンプル到着後すぐに結果を出さなければならないケースもあり、数ある分析の中でももっとも短い納期での対応となります。」
「原料のチェックで基準に合わないものが見つかった場合、その原料は使いません。ただ、それで終わりではなく、同じことが繰り返されないように、私たちは調達先と連携して原因を調べ、対策を行います。
こうした地道な取り組みを重ねることで、『安全な原料だけが製品になる』という流れが守られています。」
やっぱり気になる!農薬の話
「農薬について考えるとき、特に注意が必要なのは『生産国と輸入国で基準値が異なる場合』です。各国で農薬の使用基準が違いますし、基準が変更される場合もあるため、輸入品にはリスクがあります。
食品安全部では、そうした“基準値差”の変化を常に調べています。
もちろん情報だけではなく、輸入する原材料のサンプリング検査(一部を抜き取りその結果から品質を判定する方法)もしています。」
農薬管理の取り組みと残留農薬について
「ここ数年、地球温暖化の影響で『カメムシ』が大量発生するようになりました。本来なら冬の寒さで数を減らすはずが、暖冬だと生き延びてしまい、翌年さらに数を増やしてしまうのです。昨年(2024年)は例年の70倍ものカメムシが発生した県もあると報告されています。
カメムシが増えると、果樹につき病気を引き起こしたり、お米の生育を妨げることもあり、米不足の一因にもなるのです。また、高温多湿の環境下では病気も発生しやすくなります。
カメムシの大量発生や病気が発生している状況では、農薬の使用はやむを得ません。ただし、基準を超える量を使うことはできませんので、限られた使用量や回数で効果を上げる工夫が求められます。
そのためには、農薬の使い方がとても重要になります。特に雨の多い時期は注意が必要で、雨が降ると土や葉に水分が残り、散布しても農薬が流れ落ちてしまうのです。しかも、基準が定められているため、すぐに農薬をまくことはできません。だからこそ、雨が降る前にあらかじめ散布し、対策を講じることが大切です。
気候の変化は農作物のリスクを増やします。だからこそ農薬は、安定した食を届けるために欠かせない役割を担っています。」
「農薬は作物を守るために欠かせないものですが、その使い方次第では『残留農薬』というリスクになることがあります。だからこそ、私たちは常に厳しくチェックし、残留した原因を一つひとつ探っていきます。
たとえば、基準を超えてしまったときは、散布のときに風に流され、意図しない場所に薬が飛んでしまったのかもしれません。
さらに、以前使った農薬が畑に残っていた可能性も考えられますし、農薬を散布する機械をきちんと洗浄していなかったために、別の農薬が混ざってしまうケースもあります。原因を突き止めて対策するのは、地道で根気のいる作業です。しかし、それを怠れば、安心・安全な商品をお届けすることはできません。食品安全部だけでなく、他の関連部門とも協力してより安全なものを提供するように努めています。
また、最近の地球温暖化や気候の変動により、カビが生成する毒素など、新たなリスクが次々と出てきます。だからこそ、最新の情報を常に取り入れ、先回りして対策を考えることが欠かせません。お客様が安心して商品を手に取れるよう、私たちの挑戦は続いています。」
前編では、『畑での取り組み』や『研究開発部門での取り組み』を中心にご紹介しました。
後編では、『工場での取り組み』や、『研究開発部門でのリスクを予見する活動』についてご紹介します。
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