[第一話:原料編]
2025.07.29
農家さんと一緒に歩む、
カゴメの「フィールドパーソン」という仕事。
栃木県芳賀郡益子町。 その女性は、カゴメの契約農家さんと一緒に、早朝の広大なトマト畑の中を歩いていました。 この畑で栽培されているのは、カゴメ健康直送便で販売される“旬”のトマトを搾る『夏しぼり』など、ジュース加工用のトマト。
彼女の仕事は「フィールドパーソン」。 美味しいジュースの原料となる“良質なトマト”を確保するために、農家さんの栽培をサポートするカゴメならではの人材、いわば農業のプロフェッショナルです。 畑の中、真剣な眼差しで今年のトマトの生育状況を見つめるその女性に声をかけてみました。
「おはようございます、岸上(キシガミ)です。 今年もすくすくと美味しいトマトが育っています」。 畑の中のトマトから顔を上げ、満面の
笑顔で答えてくれました。
順調なトマトの生育状況に、思わず笑顔がこぼれる「フィールドパーソン」岸上さん。
麦わら帽子に日よけのための頬被り、畑にしっかり馴染んでいます。
“畑は第一の工場”。 『夏しぼり』の製造は、
もうここから始まっています。
では「フィールドパーソン」とは、具体的にどんな仕事をしているのでしょう? 岸上さんに聞いてみました。
「カゴメには、“畑は第一の工場”というモノづくりの理念があります。 美味しい『夏しぼり』をつくるには、まず第一に良質な国産原料を確保すること。 そのために現在カゴメでは日本全国約480の農家さんと契約栽培を行っています。 フィールドパーソンは、そうした契約農家さんの畑を巡り、生育状況を一緒に確認しながら、栽培指導をしたり、農家さんからの質問に対して随時アドバイスを行うのが主な仕事です」。
他にも「苗の納品、苗床から畑に移して本式に植える定植。 担当地域ごとにに開催される講習会や各種資料の作成、関連機関との打合せ・調整等々、そのフィールドは畑の中に止まることなくとても広い」とのこと。
広い畑を隅から隅まで、トマトの生育状況を見て回る岸上さん。
取材日の6月27日は梅雨の真っ只中。 湿気が多い時期は特に疫病や害虫、
カビにも注意が必要とのこと。 一株一株、確認に余念がない。
“畑と食べる人を繋ぐ架け橋になりたい”。
私が「フィールドパーソン」を目指した理由。
現在「フィールドパーソン」になって3年目という岸上さん。 カゴメに入社し、フィールドパーソンを目指した理由をこう語ります。
「大学では農学部で野菜園芸学を専攻しました。 基本的な植物の生理生体・防除の考え方・植物病理等は授業で学び、実習で野菜や果物の栽培も行いました。 その実習で、自分が畑で育てた野菜を友人や家族が『美味しい』と言って食べてくれたのが本当に嬉しかった。 そのことがきっかけで、卒業したら“畑と食べる人(=消費者)を繋ぐ架け橋になりたい”と、強く思うようになりました」。
そして就職活動時に、カゴメに「野菜原料部」という部署があり、そこでフィールドパーソンの存在を知り、それからはフィールドパーソンになることを目指して勉強を重ねたという岸上さん。 しかし現実はそう甘くなく、彼女がフィールドパーソンになれたのは、入社3年目の春のことだったそうです。
この日訪れた農家さんの年齢は72歳。 25歳からトマト栽培を始めたという
超ベテランの農家さん。 孫ほども歳が離れた岸上さんの話に真剣に耳を
傾ける様子に、信頼関係の深さが伺える。
信頼される「フィールドパーソン」を目指して、
農家さんと二人三脚で。
これからも出来る限りフィールドパーソンを続けて行きたいという岸上さん。 より良いフィールドパーソンになるために、心がけていることを聞いてみました。
「契約農家さんには、カゴメのトマトをつくっていただき、私たちは適宜栽培指導を行っています。 出来る限りのアドバイスはさせていただきますが、実際の栽培作業においては、農家さんと徹底的に話し合い、良きサポーター役に徹したいと考えています。
苗を育てるのも植えるのも、トマトを育て収穫するまで、実際に手を動かすのは農家さん。 ですから農家さんがどうしたいのか、まずは聞くようにしています。 もちろん、品質向上のためにカゴメとして守って欲しいことはしっかり伝えます。 その上で農家さんの考えと自分の考えをすり合わせ、二人三脚のように歩んで行きたいと、いつも心がけています」。
笑顔で農家さんの話を聞く岸上さん。 話す農家さんも何だか楽しそう。