新野菜をやってみないか
鹿児島県曽於市は大隅(おおすみ)半島の北側、宮崎県との県境に位置し、古くから畜産が盛んに行われてきました。そのおかげで良質の堆肥が手に入ること、農業用水が整っていることなど、野菜栽培の条件も整っているため、野菜の優良産地としてもよく知られています。
ケーリッシュを栽培するセンリファームの園主・勝目千里(かつめ せんり)さんは、祖父の代から続く製茶業を受け継ぎながら、これからの時代に向けた新しい農業にも挑戦しています。そのひとつが、ケールや大麦若葉といった青汁原料野菜の栽培。「我々が育てた野菜が、誰かの健康を応援していると思うと力が入りますね」と笑顔です。「青汁用ケーリッシュの栽培に力を貸してもらえないかと打診された時は、ぜひやらせてほしいと即答しました。この大隅一帯は、野菜、特にキャベツは評価が高い。ケーリッシュは同じアブラナ科なので、力になれるのではないかと思いました。また、新野菜ということに、とても魅力を感じました。
ひと株の収穫方法を見せてくれました
さまざまな発見
おじゃましたのは12月上旬、収穫を目前に控えた時期でした。畑ではスタッフの方々が、枯れた下葉を取り除くなど、手際よく作業を行っていました。「スタッフは本当に熱心でありがたい。収穫直前まで、丁寧に手入れをしてくれています」「それじゃ、ひと株収穫してみましょうか」。大きく葉を広げるケーリッシュを抱えるように掴んで、根元に刃物を当てていきます。「これが結構たくましくて…、よいしょ」と気合を入れながら切り込んでいく勝目さん。切り取った株は、勝目さんの上半身を覆うほどの大きさでした。
ケーリッシュの収穫を迎えるのは今年で3回目。試行錯誤を重ねながら、栽培を模索してきました。「過去2回の栽培で、畝(うね)の高さや株と株の間隔を確認してきました。ケーリッシュは、ケールとダイコンの掛け合わせですから、ケールの特徴が出たり、ダイコンの特徴が出たりします。葉の広がり方はダイコンの特徴が出たようで、思ったより横に広がりました。3回目の今回は、今までよりも広い畑で、株と株の間を広く確保しました。順調に生長したようでほっとしています」「また、ケーリッシュは生育がはやいということにも驚きましたね。とても勢いのある野菜です。この土地にも合っているんでしょう。最初は生長を追いかけるのに必死でした(笑)」
「収穫したら運びやすいように、このように細かく切ります」と勝目さん
生き生きした畑
畑の「土づくり」は特に勝目さんがこだわっている作業のひとつです。
排水性を高めるために、3種類の機械を使い分けて、1メートルほどの深さまで何度も耕します。この作業を勝目さんは「土の層を切る」と表現していました。「土の中って層になっているんですね。目には見えませんが、その層のどこかに水が溜まっていると、作物に悪影響を及ぼします。そうならないように土の層を切るわけなんです」
さらに地中の微生物にも気を配るといいます。排水がよく、しかもしっかりと肥料を受け止める土。微生物は、そのような土をつくってくれる大切な助っ人です。そんな微生物を増やす工夫もさまざま行っているそうです。「やはり、畑が生き生きしていないと、送り出す製品も生き生きしてこない。そんな思いで土づくりを行っています」と照れながらも話してくださいました。
「これからもチーム一丸となって高品質のケーリッシュをお届けしていきます」とセンリファームの皆さん
対話を重ねて
「ここまで来るのに、カゴメさんとは、かなり話し合いました。メールの長文なんか、見せてあげたいくらいです(笑)。リモート会議もずいぶん行いました。もちろん、ここにも何度も足を運んでくださいました。カゴメさんの熱意は最初から感じていたのですが、対話を重ねる中で、より強く感じるようになりました。これからもさらに対話を重ねて、高品質のケーリッシュをお届けしていきたいと思います」と、勝目さんは笑顔で話してくださいました。
「ケーリッシュの生命力にはいつも驚かされます」