山形県-尾花沢市
山形の最北東の地・尾花沢は、毎年2mもの雪が降り積もる豪雪地帯。本当にここですいかが育てられるのか?そんな不安を抱きつつ始まったすいか栽培は今年で50年の時が経過しました。今、尾花沢すいかは7〜8月の夏すいかの出荷量で日本一となっています。
尾花沢市にすいかがもたらされたのは昭和32年のこと。山形市近郊の農家から10本のすいかの苗を譲り受け、植え付けたのが始まりだったそうです。今でこそ、すいかはユウガオに接ぎ木して育てられるのが一般的となりましたが、最初は、自根で育てたり、かぼちゃに接ぎ木したりなど、さまざまな挑戦と失敗を繰り返しました。そうしてやっと、ユウガオなら接ぎ木の相性がよく、連作にも強いということがわかったのだそうです。
農家の方々のねばり強い努力。そうした努力から生まれた尾花沢ならではの工夫はまだあります。まず「秋マルチ」という方法。マルチとは土を温めるために畝を被うビニールシートです。すいか栽培では、通常、苗を畑に植え付ける直前(春先)にマルチを施しますが、豪雪地帯の尾花沢では、収穫が終わった秋口に、早々とマルチを張ってしまうのだそうです。「雪解けを待って作業始めたんじゃ、すべてが間に合わねえから」と、栽培歴35年の小関登秀世さんがおしえてくださいました。また、この辺りは、春から夏にかけて吹く冷たい強風・山背にも悩まされる場所。その対策として考え出されたのが、大胆にも、苗を被っているトンネルそのものを、ツルの生長に合わせて移動する方法でした。1mほど伸びたツルの先に咲く雌花。その部分は何が何でも山背から守らなくてはなりません。1本50mほどもあるトンネルを移動させるというのは、かなり大胆な発想でしたが、結果は大成功でした。「この方法なら、雌花は守れるし、葉にはいっぱい日を当てられる。確かに大変だけどなあ(笑)」。すべてはおいしいすいかを育てるため。農家の方々は決して労力を惜しまないのです。
収穫までには、摘果、伸び過ぎた子ヅルの芽かきなど細やかな作業を毎日行います。そして7月中旬ごろから収穫。「寝ても覚めてもすいかのことばっかり考えてきて、本当に、苦労して苦労して。やっとゴロンゴロンと実ったんだ。そのときの喜びは口では言い表せねえな」と小関さん。本当に甘くシャリシャリとした歯ざわりの尾花沢すいかは、苦難に立ち向かいながらもおいしさを追求し続けた農家の方々の努力の賜物です。





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