福井県-大野市
鮮やかな緑色の水田と、色濃く大きい葉の畑が美しく広がる福井の阪谷地区。この畑こそ、福井の伝統野菜のひとつである、さといもの畑です。連作ができず、水田で交互に栽培されているため「田いも」と呼ばれています。また子いもが親いもの周りにしがみつくようにくっついていることから、「親責」とも呼ばれています。
「何より、ここらの土が在来種に合っているんだ。昔、すぐそこの経ヶ岳が噴火して、この辺りの土は水当てれば(上げれば)、サーッと引くような火山灰だから」とおっしゃるのは、この地で生まれ育った中村千代子さんと中川ちえ子さんです。おふたりとも70歳を迎えても、なお元気に畑へ作業に出ています。「さといもは、おらたちが小さいときからあるのが当たり前で、作るのはもう生活の一部みたいなもんだよ」とのことですが、毎年、ちょうど暑い夏の時期に大変な作業があるそうなのです。
まず、4月中旬に種いもの植え付けをし、2週間ほどで芽が出たところで、畑に肥やしを蒔き、穴を掘ったところへ種いもを植え替えます。そして、8月に、作業の中でも一番大変な「子ずいき刈り」を行うのです。「いもの根っこに風入れたら大きくならん。日光から隠してやるのが大事」とおっしゃる通り、子ずいき刈りは、土から顔を出そうとする旺盛なさといもに土をかぶせたり、余分な養分を取られないように子いもを刈る作業を何度となく繰り返します。全部で6千株ものさといもに手をかけるわけですから、途方もありません。「それもこれも、大野のさといもをおいしいと言ってくれるファンがいるため。ほかとは粘りが違うんよ」と中川さん。この時期、日々の管理に気をつけながら、誰が食べてもおいしいという自信作が収穫を迎えます。



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