全国野菜&果物マップ

日本全国で育っている、旬の野菜・果物を
季節別でご紹介します。

千石豆

岐阜県-岐阜市

わずか4軒の農家が守り続ける
千石豆は郷愁をそそる味わい。

爽やかな緑色に、しなやかな三日月の形、独特の青味の強さがどことなく懐かしい。千石豆は、明治時代から岐阜市の南部で栽培が続けられている、「美濃伝統野菜」のひとつとなっています。

伝統を守ることが楽しみ

「美濃伝統野菜」とは、岐阜県で昔から栽培されている特色ある野菜のことで、岐阜県で認証しているものです。
「この辺りでは先祖代々つくっていたもんで、生まれたころからよく食べてたな」とおっしゃるのは千石豆生産部会長の辻貞男さんです。「独特の青くささが野菜本来の味という感じで、この癖があるところがたまらんよ。みそ和えにしたり五目煮にしたり、天ぷらにしてもおいしくて、年配の方は特に懐かしいなって思ってもらえる味だと思う」とは奥様の文子さん。昔はほとんどどこの農家でもつくっていたそうですが、この伝統野菜を受け継いでいるのは現在わずか4軒。でも皆さん本当にパワフルで明るさいっぱいです。ひとりが「伝統野菜を守ることが楽しい」と豪快に笑いながら話せば、他の皆さんもすかさず「そうやねえ。まあ心が広い人ばかりやけえ」と冗談まじりの言葉を返します。気心知れた仲間たちが力を合わせ、伝統を守り続けているのです。

畑に広がる千石豆の香り

早朝6時。畑に伺うと、辺りには千石豆の独特の香りが広がり、辻さんご夫婦はすでに収穫作業に取り掛かっていました。「早起きして作業するんは気持ちええよ」と手際よく実を穫りながら話す文子さん。「若いのは穫ったらいけん。でも小さくてもひねた(しなびた)ものは穫る。実り具合を見極めるのは素人じゃできん」と言う貞男さんは、真剣なまなざしで適期を判断します。しかも、2m以上にも生長したツルになる実を下から上へと順番に穫っていくため、腰をかがめたり立ち上がったりの繰り返しです。「もちろん収穫も大変やけど、種を蒔いてから収穫するまでの4ヵ月間の管理が大事。適度な雨が必要やけど、自然相手やでそんなにはうまくいかん。だから土にわらを敷き詰めて、水持ちをよくしたり、無駄な草が生えんようにするんや。一番大変なんが、実に太陽の光や風を当てるために、いらない葉を摘んだり、わき芽を取り除いたりすること。葉も芽も旺盛になるから摘んでも摘んでも作業は続く」。こんなにも苦労を重ねても辻さんたちが千石豆を育て続ける理由。それはきっと、伝統を絶やさないという信念があるからです。このような農家の方の姿こそ、日本の農の誇りだと感じました。

岐阜県 岐阜市 の地図
岐阜県岐阜市
  • 辻さんご夫婦
  • 千石豆
  • 収穫の様子
    180cmの支柱を超えてなお上に伸びるツル。実った豆はひとつひとつ素手でひねるようにして収穫します

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