富山県-南砺市小瀬
日本各地には、私たちがまだまだ知らない歴史ある野菜が数多く残されています。富山県に伝わる「越中とやまの伝統野菜」もそのひとつで、昔ながらの野菜を継承し守り続けていこうという趣旨で、2004年4月に五箇山かぶや金屋ネギ、千石豆など18品目の野菜が制定されています。
五箇山かぶを探し求めて辿り着いたのは、奥深い山間にたたずむ萱葺き屋根のお屋敷。富山県指定有形文化財に指定されている由緒あるお宅で、なんと300年もの歴史を誇るとのこと。21代目となる羽馬美代子さんが、混じりっけなしの五箇山かぶの種をお持ちだったのです。 「この種は、近くに咲いてる花をちぎったり植え替えたりして、ほかの品種と混じらんようにして採ってる本当の種。五箇山かぶは、昔から自分らで食べる分として作ってるんだがね」と羽馬さん。「ほかのかぶと比べて、ヒゲがボーボーであんまり器量はよくないけど、山間地のため朝晩の温度差があるから甘くて引き締まった実ができる。平地で作るものより色は鮮やかだし、なによりハリハリッとした食感が違う」。五箇山かぶは、おいしい湧き水や澄んだ空気に包まれた、この集落だからこその味わいなのです。
「種蒔きは、8月下旬から9月上旬までに。1週間ほどで芽が出て、あとはよっぽど枯れるようなら木酢を蒔いたりもするけど、ほとんど無農薬。そうしたら、もう10月には収穫できるんよ」とさらりとおっしゃる羽馬さんですが、この一帯の集落は、昔から自給自足の生活を送っているため、言葉の端々から自然と共存してきた頼もしさが感じられます。この地だからこそ育つ五箇山かぶの種を守り続け、後世に伝えていく姿。世の中がどんなに進化しても、決して変わらない「おいしさの育つ場所」を見つけることができました。





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