香川県小豆郡-小豆島町
温暖な瀬戸内の小豆島は、日本一のオリーブ産地です。
栽培が始まって、来年でちょうど100年。この地で、3代にわたりオリーブに取り組む生産者に出会うことができました。
小豆島で長年オリーブ栽培を続ける井上誠耕園の3代目、井上智博さんにお話を伺いました。
オリーブは"太陽の申し子"とにかく陽光が当たるように樹形をととのえる剪定が、栽培の命やね」。春に本格的な剪定を行ったあともこまめな剪定は続きます。「晩春に白い花が咲くと、黄色い雄しべが揺れて笑っているようでかわいらしいで。だけどオリーブはせっかちで寂しがり。根が張らんうちにぐんぐん生長するし、若い時は密集させないとよく育たんのよ。私の親父はよく、オリーブは人と一緒と言っとった。赤ちゃんのときは手間かけて、7〜8年目は剪定し過ぎず自由にし、少し大人になったらちょっとだけ手をかけ、成木になったらその個性に任せって」。井上さんにとって、オリーブは我が子同然。樹の個性を見極めて、それぞれの生長を手助けするのです。
収穫期は9月上旬〜12月上旬。1本の樹から100kgは穫れるそうです。それを小豆島では手摘み収穫です。「イタリアやスペインで栽培を勉強したとき、スケールが大きくて、俺には何百年かかってもできんと愕然とした。だからこそ『質』やって思った。日本人は器用で繊細。これぞ日本人の世話するオリーブや!ってのをつくろうと思った。その第一歩が手摘みだったんよ」。実の感触を確かめながら素手で行う手摘みには井上さんの質へのこだわりが込められています。
「祖父は常々『農業は国の元なり。農業が滅びたらその国はあかん』と言っていたね」。オリーブ園を眺めながら自分に言い聞かせるように井上さんは言います。初代が開墾してオリーブを植栽し、先代は加工の研究を始め、その後を継いだ井上さんは今、新漬けオリーブなどを開発し全国に届けています。
100年前、幾つかの土地で試されながらも小豆島でしか育たなかったオリーブ。その恩恵に感謝しながら、「大層なことは言わんけど、オリーブを通して人様の役に立てれば本望やね」という井上さんの夢が島を越えて広がっています。





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