千葉県-南房総市
千葉県の房総半島は、冬でも温暖な気候です。
この一帯は、全国の菜花生産量の約半分を占め、生産者は1000人以上にもなるそうですが、そのほとんどが60代から80代の方々なのです。
お話を伺った庄司治男さんは、現在82歳。お会いした途端、「まずは畑行ってみっか」と裏の畑へ直行。青々と茂る旺盛な葉の勢いに驚いていたのも束の間、「んじゃあ、穫ってみっか」と早い動作でサッサッと収穫していかれます。「花が咲いちまってるのはだめ。つぼみの状態を手早く穫るんだ。15cmぐらいの長さで、手でポキッと穫るんだよ」。つぼみと目線を合わせるために腰をかがめ、早歩きであっという間に見極めサッと穫る姿。とてもとても80代には見えません。
房総半島の菜花は、すべて露地で栽培されています。まずは、有機質の肥料を使って丹念に土づくりを行い、早生種は8月下旬ごろに種蒔き。収穫ができるのは11月末からで、その前には間引きや除草作業に追われます。時期をずらして、中生種や晩生種の土づくりや種蒔きも行うため、作業は常に重なり合います。さらに、菜花は1回つぼみを収穫したら終わりではありません。親のつぼみを収穫したら、子のつぼみ、今度は孫のつぼみと、1株に3回は収穫できるため、ゆっくり休む時間はないのです。
「育てるのは必死だよ。枯れたとなったら肥料のやり方調整してみたり。あったかいのはいいけど、あったか過ぎるのも菜花にはよくねえ。収穫のたびに、やっと穫れたーってうれしく思う。まあ毎年1年生みたいなもんよ。なんで日本一かって? 俺みたいな元気なじっちゃん、ばっちゃんが心を込めて育てているからだよ」と庄司さん。日本一の生産量を支えているのは、房総半島の温暖な気候の恵みだけではなく、労力を惜しまずに働き続ける生産者の元気なパワーなのです。
「菜花は収穫後が手間かかるんだ。まず余分な葉は取っちまう。なるべくつぼみの大きさを合わせて束にして、木枠にはめてバッチリそろえる」。すると、「ほら芸術品みたいに仕上がるだろう?」と庄司さん。熟練の目でしっかり選別され、手際よくととのえられた菜花のつぼみや切り口は、本当に美しく仕上がっています。日本一の生産量を誇りながら、最後の最後まで丁寧に、1日100束以上をすべて手作業で包装していく生産者の方々。店頭に並ぶ菜花には、生産者の温かさが込められているのです。






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