山口県-周南市
鬱蒼と木々が茂る奥深い山中で、力強く育つ山芋「自然生」。人の手など不要とでも言うかのように、自力でぐいぐい伸びていくその生命力に、あえて正面から向き合い栽培する自然生農家の方の姿がそこにはありました。
自然生は数少ない日本原産の山芋で、日本伝統の山の幸といえます。栽培に携わって30余年という村田将弘さんは、「まずは本当の自然生を食べてみてください。ソバみたいにすすりこんで食べるのが自然生の醍醐味ですよ」と奥様と娘さんお手製のとろろごはんを勧めてくれました。皮ごとすったとろろは黒っぽい色でアクがあり、びっくりするほどもっちりとした粘り。口にかきこめば、大地の味とはこれだといわんばかりの自然の風味が香ります。こんな豊かな味がする理由は、自然農法で育まれるからということですが、一体どのような農法なのでしょうか。
「自然農法の原点は自然に任せること。たとえば肥料で土を肥えさせれば大きな自然生ができると思ったら間違い。人間が芋をつくろうとするんじゃなく、芋に人間が合わせるつもりでなくちゃこの芋の生命力は引き出せない。『自然生』という漢字にはそんな意味もあると思う。だから水がきれいだったり空気がおいしい自然の環境がある山が一番。無農薬、無肥料で育てたいから周りにほかの農作物がないところを選んで栽培しているんです」。そして案内されたのは、鬱蒼と茂る木々に隔離されたありのままの自然が残る場所。「ここは昼夜の温度差があるし、粘土質でかたい赤土だからおいしくなるんです。自然生が仙人の杖のように曲がりくねった形をしているのは、このかたい土の中でどこまでも伸びようとした生命力の証。大切に気を遣いながら掘り起こしてみれば、1本だって同じ形がない。よく育ってくれたことに感謝したくなります」。自然と対話しながら自然生と共に生きる村田さんからおいしさの育つ場所の原点を教えていただきました。





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