栃木県-真岡市
真っ赤な色、芳醇な香り、ほおばれば甘くジューシーな果汁が口いっぱいに広がる幸せ。今回は、いちごのおいしさを求めて、日本一の生産量を誇る栃木県へ伺いました。
栃木県のなかでも、県南東部に位置する「JAはが野」は、県内のいちご生産の約1/3を占め、主に「とちおとめ」を栽培。「ここは平地で地下水も豊富。日照時間も多いから栽培適地なんでしょうね」とおっしゃるのは、いちご部会長、栽培歴40年の舘野義明さんです。
ハウスに足を踏み入れた途端、いちごの香りが鼻腔をくすぐり、外の寒さとは打って変わって暖かな温度に包まれます。「だいたい25度ぐらいがいちごの適温なんだわね」。ハウスを見渡せば、小さく白い実や大きく赤くなった実、ところどころには花が咲いていたりと生長過程のすべてが混在した様子にびっくり。「同じように育てても全部が一度に赤くならないんですよ。いちごの習性って言うか、不思議なところです。じゅんぐりじゅんぐり花咲いて実がなって穫ります」。これを繰り返すため、収穫期は11月から翌年5月までと7ヵ月に及ぶのです。
そもそもいちご栽培の始まりは育苗から。下へ垂れ下がるように生長するランナー(茎)を切って植え替える作業を繰り返して苗を増やし、10アール当たり約8000本もの苗をすべて手作業で定植。その約60日後から収穫できますが、「いちごに何が何でも必要なのが交配してくれるミツバチ。ミツバチがうまく受粉してくれると形のいい実がなるんですよ」。ハウス内を飛び交うミツバチには、大役が任されていたのです。
栽培法には、土に直接植える「土耕栽培」と棚の上で育てる「高設養液栽培」がありますが、舘野さんは後者を採用。有機質の杉の皮を粉砕したものを土の代わりに使用し、酸素と水の通りも土に比べよいそうです。生長や季節に応じて「養液(濃縮した肥料の入った水)」を、1日に数回与え、「安心・安全が第一だから、農薬を使わないようにしています」という点も日本一の生産量を支える誇りから。「収穫最盛期は、2日空けると完熟してしまうから1日置きにハウスを見回ります。皆さんのところへ届くときに丁度完熟したのを食べていただこうと、上のヘタの部分が少し白いのを穫るんです。とにかくいいものを、そういう頭でしかつくってねえから」。舘野さんから手渡されたいちごの甘かったこと。優しい思いが凝縮された味でした。






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