岐阜県-羽島市
今、注目を集めている日本各地に根づいた昔ながらの野菜。岐阜県では、昭和20年より前から栽培され、地域に定着している野菜や果樹を「飛騨・美濃伝統野菜」として認定。今回は、そのなかのひとつ「藤九郎ぎんなん」を求めて、羽島市におじゃましました。
「藤九郎ぎんなん」は、羽島市に近い現在の瑞穂市の井上藤九朗という人の家に樹齢300年にもなる原木があったといわれているほか、近隣で160年生樹や100年生樹が発見されています。粒が丸く大きいけれども殻が厚い「久治」や早生種で粒が長い「金兵衛」など、数あるぎんなんの中でも、羽島市では9割以上「藤九郎」を栽培。お話を伺った道家英徳さんもそのひとりで、「『藤九郎』は粒は丸くて大きいし殻が薄い。風味も味もよくて表面はなめらか。凛とした実ですよ」とおっしゃいます。また、岐阜県が日本有数のぎんなん生産地となっている理由は、「木曽川沿いは砂地で水気が多い土地。これがぎんなんに合っていたようです」とのことでした。
「樹と樹が重なり合うと、太陽の光が入らなくなって実が穫れなくなるから、冬の間に枝打ち(枝を切ること)します」と道家さん。春から夏にかけては、肥料を施したり草刈りをしたり。梅雨時は、樹が自分で実を落とし実の数を自然と調整(生理落下)。そして、美しい紅葉に包まれる10月、いよいよ収穫です。「一番注意するのは、完熟してから枝をゆすって樹から落とし、早く果肉をとって乾燥すること」。そうしないと、熱を持って中身が変色したり腐敗してしまうのだそうです。また、「殻に傷が付くとこれも腐ってしまう。『藤九郎』は殻が薄いので苦労しますね」。さらに、年々生長し高くなっている樹に登り作業するのは大変危険がともないます。それでも、「我々の仕事は自然相手。やってきたことが天災でゼロになってしまうこともある。でも天の恵みがあるからやれるし、樹は手間かけただけ返してくれる」と道家さん。苦労がありながらも自然の恵みに感謝する姿に、自然と共存されてきた人生の深みを感じました。




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