沖縄県-島尻郡八重瀬町
1年中温暖な気候の沖縄。その豊かな自然が育んだフーチバー。家族の健康を守る薬草、そして、料理に香りと味わいを添える野菜として沖縄の人たちに古くから愛されてきたフーチバーは、島尻のおとうとおかあが、ゆっくりと大切に育てていました。
フーチバーはニシヨモギという沖縄特有のヨモギです。本州産より少し強い苦みと香りが特徴で、地元の方は、ひらやーちー(お好み焼き)や、じゅーしー(雑炊)などにしてその苦みと香りを楽しみます。このフーチバーは沖縄でも本島南部の島尻地区が名産地。粘土質の土が雨水を抱え込み、たっぷりと水分を供給してくれるのです。1年中育ちますが、4月ごろのものはとくにやわらかく、苦味も程よいのだそうです。「子どものころは、腹が痛い、熱が出たといえばすぐフーチバーを飲まされたよ」と言うのは75歳のおとう、大湾信吉さん。大工さんとして45年間勤め上げた後、フーチバー栽培に取り組んできました。「フーチバーは強いから栽培は簡単と思っていたわけ。ところがはじめの3年は苦労したねー」と言います。どんなに防いでも出てくる害虫。しかし環境問題を考え、微生物を使う方法を選びました。「それでも減らないから自己流でエキスもつくったよ」。島唐辛子、泡盛、にんにくなどの特製エキス。3年越しの努力の甲斐あって、今では害虫はほとんど出てこないと言います。
フーチバーは、芽が出てから30〜35日ほどで収穫できるので、少しずつ時期と場所をずらして1年中栽培を行います。大湾さんも、あちらの畑では新芽への水やり、こちらでは草取り、そちらではカマで収穫と、点在する畑を奥様と毎日まわります。「おかあと2人でできる分だけ。それでも充分育ってくれるね。ここは健康の畑。葉の匂いをかぐだけで元気が湧いてくる。仕事がなくても毎日ここに来て元気をもらうのさ。この元気を届けたいね」という大湾さん。沖縄の豊かな自然、そして「なんくるないさ(なんとかなるさ)」という大らかな人柄のおとうとおかあ。フーチバーはこのすばらしい自然とゆったりとした時間の中で大切に育てられていました。






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