愛知県-知多郡美浜町
今でこそ、エリンギを食べたことがある方がほとんどだと思いますが、日本に初めてエリンギが入ってきたのは愛知県で、今からわずか11年前のことです。その1年後に栽培が始められ、全国へと広まっていきました。今回お会いしたのは、このエリンギ栽培の先駆者である天木辰信さんです。苦労とはひと言では括れないほどのお話を伺うことになりました。
「これまでに、何度も全滅は経験したよ。夜、寝れんなんてことにも慣れた」。そう語る天木さんが、エリンギ栽培を始めたのは、お子様が「おいしいおいしい」と食べる姿がきっかけでした。「子供が喜んで食べるキノコならいける」。養豚場だった敷地を全面改装し、その人生をエリンギに懸けたのです。 しかし、真っ直ぐに成長するはずのエリンギが右を向いたり左を向いたり。種菌を植え付けて、いつも通りに温度管理をしているのに、まったく伸びなかったり。悩み、眠れぬ日々が続くなか、「何度も何度もスタート地点からやり直すしかなかった」。細かくデータをとる作業を繰り返して、ようやく明るさが見えたのは、栽培を始めて5年が経ったころでした。「挑戦なんて言うとかっこよすぎるけど、行けるとこまで行ってやろうっていう気持ちかな」。自問自答しながら、決してあきらめなかった結果、15万本ものボトルで育てられるエリンギは、今では見事な容姿で立派に成長しています。
「ときには、全滅に絶望しかけたこともあったと思います。それでも、強い信念を持ち、先駆者として道を切り開いた天木さん。次なる夢は、新鮮でおいしいエリンギをもっと知ってもらうため、近隣の小学生にエリンギの栽培方法や収穫などを体験できるようにすることだそうです。「そのためのフォローはいくらでもするつもり。だって、それが本当の"食育"でしょ」。子供たちが興味津々にエリンギを育てる様子が、早くも目に浮かぶようです。



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