山形県-西村山郡朝日町
子どものころ、山になっているあけびを目にしたことはありませんか?紫色の実がところどころパックリと半分に割れ、中の果肉だけを食べてみたり。あけびの語源が「開け実」というのは、この割れた様からきているようです。 今回は、ひと足早く秋を感じようと、あけびの生産量日本一を誇る山形県へ。なかでも、有数な産地である朝日町へ足を運びました。
「ここらでは、春や秋の彼岸にあけびをお供えする風習があるんだ。先祖の御霊はあけびの舟に乗ってくるっていう言い伝えがあるんだよ。 家の周りにも自生してるから、昔からよく食べてた」とおっしゃるのは、朝日町あけび生産組合長の白田勇記さんです。「食べるっていっても中身じゃない。ここらは皮を料理して食べるんだ」。 「え?皮を?」と驚いてしまいましたが、昔から炒め物や揚げ物として、さまざまな料理に活用されていたのです。
「朝日町は、昼夜の寒暖差が大きい。夏でも夜は涼しくて、クーラーはいらないくらい」という涼しさこそ、あけびがよく育つ秘訣だそうです。 「直射日光が当たるとだめだから、葉を茂らせて日陰を多くつくるんだ」とおっしゃる通り、ぶどう棚のようなあけび畑は、ほとんど日が射さないように整えられています。また、品種の特性を活かすべく、12月の間に細やかな剪定を。 1月から2月は、毎年1.5m以上も積もる雪をかく大変な作業が。4月に開花し受粉が済むと、摘果作業に明け暮れます。そして、収穫は8月中旬から10月にかけて。 「もぎとるタイミングを見極めるのが大変なんだ。熟すと実が割れて果肉が見えてしまうから、この手前で収穫すんだ」。傷みやすく、小さな傷でもすぐに色が変わってしまうため、収穫作業には特別神経を遣うそうです。 「あけびはまだまだマイナーな作物だけど、みんなに食べてもらいたい。朝日町のあけびは、とにかくきれいな紫色してんだよ」。幻想的な輝きを放つあけびは、本当にうっとりするほど。今年はぜひ、あけび料理に挑戦したいものです。



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