くらしの知恵袋

最前線けんこう長寿

医学博士白澤卓二先生が分かりやすく解説する、寿命・老化の科学。
いつまでも健康的に人生を楽しむために、ぜひ参考にしてみてください。

座っているだけでも効果があるリハビリ用ボール

体の内側の筋肉を鍛える
 ずっと元気で過ごすためには、体調に応じた適度な運動が必要です。今回は私がおすすめする運動をご紹介しましょう。
 それはリハビリ用ボールを使う運動です。バランスボール、Gボール、エクササイズボールなど、いろいろな呼び名があります。もともと病気やケガなどで身体に障害を負ってしまった人のリハビリのために開発された、直径45cm〜75cmのボールです。
 リハビリ用ボールを使うことにはいろいろなメリットがあります。まず、それに座って体をゆっくり動かすことで、体の内側の筋肉が鍛えられることです。ただ座っているだけでも、体は自然にバランスを保とうとして無意識のうちに筋肉が鍛えられます。体の内側の筋肉は、体を安定させたりなめらかな動きをつくり出す筋肉で、これを鍛えることにより、転倒を防止したり動きを楽にします。「もう年だから」とあきらめないでください。筋肉はいくつになっても鍛えられます。そして私はさまざまな研究から、筋肉が適度に鍛えられている人のほうが比較的長寿であると考えています。内側の筋肉は、外側の筋肉に比べて意識的に動かすことが難しいと言われているので、このようなボールの力を使って、トレーニングしてみてはいかがでしょうか。

姿勢を正して運動量アップ
 また、ボールの上でバランスを取ることで、骨盤が安定します。その結果、背骨の並びが整えられるので、姿勢もよくなり、肩こり予防にもつながります。姿勢がよくなると、足や腕の動きも軽やかになり活動量も上がるので、結果的に肥満防止にもつながります。
 さらには、自分の体のゆがみに気づくことができます。自分では真っ直ぐ座っているつもりでも何となく右に傾いてしまうなど、意識していなかったことをボールが気づかせてくれます。
 正しい姿勢でエクササイズをするためには、自分に合ったサイズのボールを選ぶことが大切です。背筋を伸ばしてボールに座り、足を床につけたときに、ひざの角度が90度くらいになり、太ももと床が平行になるのがよいでしょう。
 長寿の秘訣は、しなやかな筋肉を身につけることです。激しい運動は必要ありません。姿勢を正しく保とうと意識することから始めましょう。

白澤 卓二(しらさわ たくじ) 白澤 卓二
(しらさわ たくじ)
医学博士。順天堂大学大学院医学研究科 加齢制御医学講座 教授。(財)東京都老人総合研究所協力研究員。老化と加齢について多彩な角度から研究を行い健康寿命の延伸に尽力。日本テレビ「世界一受けたい授業」、NHK「NHKスペシャル」に出演するなど、多方面で活躍。

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