くらしの知恵袋

最前線けんこう長寿

医学博士白澤卓二先生が分かりやすく解説する、寿命・老化の科学。
いつまでも健康的に人生を楽しむために、ぜひ参考にしてみてください。

認知症予防は、魚と野菜に重点を置いた食生活

カロリー過剰摂取で認知症のリスク大
 主な認知症には、特別なたんぱく質が脳内に蓄積する「アルツハイマー病」と、脳への血流に障害が起こって発症する「脳血管障害」があります。脳は多くの血流によって活発に動いている器官であり、血流不足には極端に弱いという性質があります。特に、判断力や理性を司る「大脳皮質」、記憶力や学習能力を担っている「海馬(側頭葉内側の奥深い場所に位置する)」は血流不足が決定的な影響を与えます。このような血流環境をいかに守り、また刺激するかが、認知症予防につながります。
 脳への血流が減る病気には脳梗塞や動脈硬化などがありますが、これらは、カロリー過剰摂取と大きく関わっていると考えられます。実際の調査でも、認知症の方の95%がカロリー過剰摂取で、その中でも25%が高脂血症、12%が糖尿病、32%が高インスリン血症という結果が出ています。

魚と野菜の力に注目
 このようなカロリー過剰摂取を予防するには、やはり「魚と野菜に重点を置いた食生活」を心がけるのが一番の近道だと私は思います。魚や野菜には、カロリーが低いというだけでなく、それぞれが持つ栄養成分に脳の老化を抑える働きがあるのです。
 たとえば鮭に含まれるアスタキサンチンや、オリーブ油(エクストラ・バージン)のオレオカンタールという成分には、脳の炎症を抑える作用があることが分かっています。青魚に含まれるEPAやDHAには血液サラサラ効果がありますし、納豆に含まれるナットウキナーゼには血栓予防効果があります。野菜のビタミンやポリフェノールは動脈硬化を予防することで、認知症予防に繋がります。
 魚や野菜ではないけれど、緑茶に含まれるカテキンや、カレー粉に含まれるクルクミンには、アルツハイマー病の原因になるたんぱく質の蓄積を抑制する効果がありますので、こうした食材を積極的に摂取しましょう。
 ところで以前は、脳神経は一度死滅したら再生はしないと考えられていました。しかし今は再生を促す幹細胞の存在が海馬などで確認されています。脳は刺激し続ければ、再生され常に若々しく保つことができます。食事と脳の刺激で認知症を予防しましょう。

白澤 卓二(しらさわ たくじ) 白澤 卓二
(しらさわ たくじ)
医学博士。順天堂大学大学院医学研究科 加齢制御医学講座 教授。(財)東京都老人総合研究所協力研究員。老化と加齢について多彩な角度から研究を行い健康寿命の延伸に尽力。日本テレビ「世界一受けたい授業」、NHK「NHKスペシャル」に出演するなど、多方面で活躍。

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