一時は会社勤めも経験。「やはり柑橘栽培が好きだったので家業を継ぎました。自ら企画したものが成果になるのが楽しいです」と話すやさしい笑顔が印象的です。
入り組んだリアス式海岸のすぐそばまで迫る山々。その急勾配には、石垣づくりの段々畑が広がっています。愛媛県 西宇和地方は、まさに柑橘の里。ここには、3つの太陽があると言われています。空から注ぐ太陽光、海面が反射する太陽光、石垣が反射する太陽光。それらの恩恵をたっぷり浴びて、春の柑橘「清見」はやさしい甘みを蓄えています。
「ここは柑橘にとって本当にいい環境なんですよ。日照量は十分ですし、雨があんまり降らん。それで甘い実ができるんですよ。土も水はけがいいしね。柑橘にとって言うことなしですわ」と、教えてくれたのは、清見農家の宮本さん。標高約100メートルに位置する園地のすぐ前には、宇和海が輝いています。急斜面の園地はきれいに整備されていて、宮本さんの丁寧な世話がうかがえました。おいしい柑橘は、良い環境だけが育てるのではないのです。
1月の末、宮本さんの園地の果実一つひとつに白い袋がかけられていました。これには二つ理由があります。一つは、カラスや渡り鳥などに食べられないようにするため。もう一つは、樹になったままで冬を越す果実を、寒さから守るためです。
宮本さんが「清見」の栽培を始めたのは、およそ25年前。初めて実った果実はおいしくなかったそうです。「酸っぱくてね。こんなはずやない、と思いましたよ」と振り返ります。「後でわかったんですけど、そん時は年内に穫ってたんで早過ぎたんですわ。それで収穫時期をずっと遅らせたら、ビックリするほど甘くてね。樹になったまま越冬させるために、袋をかけるようになったんですよ」。宮本さんの園地には、およそ13万個もの果実が実っています。その一つひとつに、手作業で袋をかけていくのは、根気と愛情がないとできないものです。
「清見」の花は5月頃に咲きます。昨年も例年通りに咲いて、やがて実をつけ始めました。余分な花や実を摘み取る「摘花」や「摘果」の作業は順調だったのですが、そろそろ梅雨という時期に雨が少なかったそうです。「その時に実の大きさが決まるから雨は大事なんですよ。それで、スプリンクラーで水をまいてしのぎました」と宮本さん。
果実が自然の恵みである以上、自然の脅威にもさらされます。「一番怖いのは台風ですね。台風が来ると、吹き上げられた海水が作物にかかってしまうんですわ。清見は多少の塩分やったら大丈夫ですけど、大量に降りかかってくるとさすがに枯れてしまう。そうならんために、水をまいて塩分の濃度を下げてやるんです。地域の担当者は台風が来るとなると、夜中であっても園地に行って、いつでも水をまけるようにスタンバイするんです。強烈な雨や風の中で、急勾配の園地に行くわけやから、もうそれこそ命がけです。去年は台風がそれてくれたから、本当に良かったですね」。
たくさんの太陽の光と愛情を受けて、順調に育ってきた今年の「清見」。3月から収穫される予定です。「やっぱり収穫の時期が一番うれしいですね。いつも『今日はこれをやろう』と目標をたてて、毎日達成感を味わうようにしていますが、やはり収穫は最終的な目標ですからね。完熟した実がみんなに『おいしい』と言われたら、こんなに幸せなことはないですね」と宮本さん。毎日園地で重ねてきた苦労が実を結ぶのは、もうすぐです。
カゴメは大切に育てられた「清見」を丁寧にしぼって今年の「清見しぼり」にします。甘酸っぱい爽やかなジュースを、ぜひご期待ください。

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